役員貸付金清算プランコラム(総合編)

1.「役員貸付金問題」との出会い

平成1ケタの信用金庫融資営業時代、担当していた法人融資先から決算書をお預かりし、
コピーを取り本部審査部へ決算書を送り数値の入力や業績の把握をしてもらう
「財務登録」という作業がありました。

とある先の決算書を送付したところ、その審査部長からやや頭ごなし的な電話がかかってきました。

電話イメージ画像

受話器を取ると審査部長から「増えてるじゃないか!」との第一声。

これに対し私が、「はい!この会社売上増えてます」と答えると

「竹内くん、そうじゃない。この会社役員貸付金が増えているでしょ。これが何を意味するか分かるよね」
と質問されました。

当時まだ20代半ば、勢いで営業していて決算書もしっかり読めなかった私が
「決算書の資産の部に計上されていて・・・」としどろもどろに答えると、

審査部長が

「確かに役員貸付金は決算書上の資産の部に計上されるけれど、
この役員貸付金がどういう経緯で発生したかはそれぞれだけれども、
この勘定科目は解消されることは少なく、
このままの金額で滞留し続ける、もしくは増えていく
ものなんだ。

だから資産と言っても不良資産、決算書の純資産の部から差し引いて評価することになる。
それでいくとこの会社の純資産はマイナスになる、すなわち実質債務超過という扱いになる。
以降の新規貸出は原則不可。要注意先へ転落。早急に改善策を報告しなさい!」

と厳しく指摘します。

私が内心「審査部長は改善してきたのかな」などと思いながらも上司と相談し、

「毎月の役員報酬から適切に返済を進めるよう指導に努めます」などと報告してから半年~1年経過し
その会社の新しい決算書を見るとまた役員貸付金が増えている・・・ということがありました。

債務イメージ画像

また当時こんなこともありました。

民間調査会社の評点が一定の点数以上ある法人向けの新規開拓用としての融資商品があり、
私が担当している地域の老舗企業に足しげく訪問した結果、その融資商品を利用するとなりました。

規模もそこそこの会社で私としては会心の新規開拓でした。

決算書や融資申込書類を預かり申請書を書いて支店長に出したところ、

「この会社は関連子会社にこれだけの貸付金が何期にもわたって滞留しているじゃないか。
ここには融資をすることはできない。断ってきなさい!」

子会社イメージ画像

と言われ、顧客に話をしたところ

「お宅が融資基準をみたすから借りてくれと頼んできたのにできないとはどういうことだ!」

と当然のごとくお怒りになり取引は解消となりました。

※この支店長の企業を見る目は鋭く、その後この法人は清算となりました。
支店長が疑問を呈し取引を撤退させた会社は軒並み倒産となりました。
結果、被保全債権を出さずに済んだ実績があることを付記しておきます。

決算書を見る力はまだまだでしたが、
役員貸付金がある先は慎重にならないといけないということはわかりました。

2.「役員貸付金清算プラン」との出会い

平成10年に外資系保険会社に転職し2年半ほど経過して、
保険マーケットを個人から少しずつ法人マーケットへシフトし始めたある日、
保険会社のスキーム資料として見つけたのが「役員貸付金清算プラン」でした。

財務内容の改善に効果絶大と記載されていたこのスキームの中身は

1.経営する法人から貸付を受けている社長リース会社が役員貸付金相当額を融資

2.融資を受けたお金で経営する法人へ貸付金を返済

3.返済を受けた法人はそのお金で保険会社に一括払いの形の生命保険に法人名義で加入

4.3の手続きにより決算書上の役員貸付金は保険積立金に変わる

5.法人名義で加入した生命保険にリース会社は質権を設定

6.社長リース会社に毎月口座振替で返済

7.返済が終われば換金性の高い生命保険を解約し運転資金に充当したり、社長が退職時期に差し掛かっていれば退職金の原資にできる

というものでした。

このスキームを見たときに「そんな仕組みがあるのか!」と目からうろこが落ちました。

生命保険イメージ画像

本来は

1.金融機関が社長あてに役員貸付金相当額を融資
2.融資金で経営する法人へ役員貸付金を返済
3.法人はその金融機関に返済を受けたお金で定期預金を組む
4.金融機関は定期預金に質権設定
5.社長は金融機関に毎月返済

ができればいいのですが、融資を受けたお金で定期預金を組むのは「即時両建て」と言われ禁止されています。

仮に定期預金を組まずに信用で融資ができればいいかもしれませんが、
仮にできたとして法人の通常の融資枠に影響を及ぼしますし、
そもそもそのような融資を金融機関がするのは稀です。

保険とリースであれば成り立つということで始まったスキームで
平成1ケタの頃から役員貸付金が発生しやすい建設業・不動産業(取引先へのマージンなど費用計上できないお金で仮払金⇒役員貸付金となる)で多く利用されていたようです。


さっそく私も信用金庫時代に役員貸付金で悩んでいた先に訪問し、
役員貸付金清算プランを案内したところ導入したいとなり実行。

役員貸付金が保険積立金に変わった決算書や試算表を金融機関融資担当者へ持参したところ、
担当者は最初「粉飾決算?」とばかりびっくりします。

無理もありません。
長年決算書の資産の部に張り付いていた役員貸付金が消え、保険積立金に変わっているのです。

そこで経営者や私や顧問税理士が金融機関担当者にこのような形で説明します。

「ご指摘を受けていました役員貸付金ですが、本来であれば業績を上げて役員報酬を増やし一括で返済するなり、
個人資産を法人に提供するなりして解消できればいいのですが、それは現状叶いません。
かといって毎月少しずつ返済するとしても元金はなかなか減りません。

果たしてどうしたものかと思っていた折、役員貸付金清算プランを知りました。

これであれば一括で役員貸付金が解消されるとともに
毎月口座振替での返済となることから実質返済が進んでいきます

また生命保険ですので一定の事業保障もあります。

返済が終われば質権は外れ保険の返戻金を活用することができます。

もちろんこのスキームを導入したからと言って甘えることなく業績を上げて役員報酬を増やしリース会社に一括返済できる意気込みで臨んでいきますが、まずは返済確立のため本プランを導入したものです。
これからも真摯に経営に邁進していきますのでどうかご理解と引き続きのお力添えをよろしくお願いします。」

金融機関担当者への説明イメージ画像

と説明したところ金融機関の融資担当者も

「なるほどこんな仕組みがあるのですね。
これであれば純資産からマイナスされる役員貸付金勘定が消えて
質権が設定されているとはいえ一般的な有価証券勘定である保険積立金なので
格付け他融資審査の評価にはプラスに働くと思います。」

と理解を示していただき、以降の融資取引が円滑に進むようになりました。


この経験を基に私が提携していた税理士事務所に役員貸付金清算プランを案内しました。

税理士事務所も顧問先・関与先の役員貸付金勘定には頭を悩ませています。

認定利息をどうしたらいいか、受け取っていない認定利息も法人にとっては税金の対象になるとともに税務調査のリスクもあるかもしれません。

顧問先の役員貸付金を解消したいという税理士事務所からの相談や解消依頼を中心に手掛けてきました。


また銀行や信用金庫も役員貸付金が膨らんでいる融資先の対応に苦慮しているようです。

年商数十億の急成長中の会社へ某メガバンクが幹事となってシンジケートローンを組成しようとしていました。

ところがこの会社、関連子会社宛に数億円の貸付金がありました。

ある銀行が幹事のメガバンクに対して

「いくら業績好調の会社でも関連子会社に数億円流れているところへ融資をするのは難しいのでは」

と難色を示しました。

幹事銀行が

「ではどうすれば今回のシンジケートローンを検討できますでしょうか」

と問い合わせたところ、この銀行は

「全額とは言わないがせめて半額を解消もしくは解消する仕組みがあれば検討できるのでは」

となりました。

幹事銀行が調べた結果、役員貸付金清算プランにたどり着き
実行してから無事融資が実行できるとなりました。

銀行イメージ画像

また、ある法人の社長に税務調査が入り、
追徴課税を納めるためにやむを得ず会社の資金を役員貸付金として流用
メインバンクも税金を滞納されてはいけないので承知しましたが、
役員貸付金が計上されたまま数年が経過し、今度はメインバンクが役員貸付金で困るとなりました。

金融機関も融資先全般の内容について検査を受けるので融資先に極端な金額の役員貸付金があると厳しい指摘を受けてしまいます。

指摘を受け役員貸付金清算プランを導入し改善を図りました。


そんな役員貸付金清算プランですが、
平成20年頃までは取り扱うことができるリース会社も10社ほどあり、
生命保険を質権に入れることができる保険会社も外資系・損保系・カタカナ系生保などやはり10社ほどあり、
知る人ぞ知るスキームではありましたが相応に活況を呈していました。

しかしながら役員貸付金勘定がある法人は一般の融資先企業よりも「デフォルト率」が高いようで、
せっかく返済期間10年等のリースを組んでも3年ほどでやめてしまい
質権に入っていた保険とリースの残債を相殺したり、
残念ながら倒産してしまったりとリース会社も保険会社も長期にわたって契約が継続する期待値があることから
取り組んでいる本スキームについて成果が思うように得られないということで撤退が相次ぎました。

結果、2021年5月現在で役員貸付金清算プランを取り扱うリース会社が1社、保険会社についても2社となりました。

3.「役員貸付金清算プラン」の周知活動

今日まで延べで数百社の役員貸付金に悩む中小企業経営者・税理士や公認会計士、金融機関担当者の声を聞き、
役員貸付金清算プランを実行することで

  • 資金調達力の向上が得られた
  • 税務リスクを取り除くことができた
  • 融資先から喜ばれ内部監査での指摘を解決できた

など、手前みそながら多くの喜びの声をいただいてきました。

役員貸付金清算プランは担保などが絡むこともあり、
保険会社やリース会社が広く周知することは難しいスキームです。

ただ私の立ち位置であれば過去に役員貸付金清算プランを導入したことで中小企業や税理士事務所、
金融機関が抱えていた問題解決事例を紹介できることからHP上で事例を紹介することにしました。

当初弊社が事務所を構える東京と神奈川の提携税理士事務所からの紹介を中心に取り扱っていた
役員貸付金清算プランですが、2020年4月以降、全国展開で周知活動を始めました

全国展開イメージ画像

理由は「新型コロナウィルス感染拡大」に伴う2つの要因です。

1つは新型コロナウィルス感染症特別貸付の審査で役員貸付金がある会社については
融資申請について厳しく審査されているという状況です。

審査をする側からすれば役員貸付金勘定が多額にある会社の新型コロナウィルス特別貸付の申請は
「コロナウィルスの別枠融資で資金を引っ張って個人の懐に入れるつもりでは?」
という厳しい見方になる現状です。

このこと自体は審査側からすれば当然の考え方ではあります。

融資審査は総合評価であり、
役員貸付金清算プランを実行したからと言って融資が通るというものではありませんが、
過去の経緯に対してのけじめや姿勢の見せ方として役員貸付金の実質返済を確立するプランがあることを広く周知すべきと考えました。

もう一つはコロナウィルスがもたらしたことで「オンライン面談」が可能になったことです。

コロナ禍以前は訪問もしくは来社いただき打ち合わせを重ねてというステップが必要でしたが、
オンライン面談の浸透と役員貸付金清算プラン導入のための面談要件緩和もあり、
実際の契約締結はお会いする必要がありますが、
効率的に案内することができるようになったため全国対応での取り扱いとしました。

実際、コロナ禍以前はほとんどが東京と神奈川のお客様でしたが、
2020年4月以降は九州・北海道や東北・中国・関西地方でも役員貸付金清算プランを実行させていただきました。

役員貸付金清算プランを導入するとなると個人の返済負担や金利負担や税負担増なども伴うため、
導入するか否かは経営者と顧問税理士の判断になると思いますが、

役員貸付金清算プランという解決策が存在する

(私の経験則になりますが、金融機関の支店長クラスで20人に1人くらいが知っているかどうか、税理士・公認会計士でも同様の割合で知っている先生でも「昔は扱っていたけど今はなくなったよね」くらいの認識のようです)

ことは取り扱いリース会社や保険会社が少ない現在、広く周知する必要があると思い活動しています。

役員貸付金でお悩みの
経営者様・税理士・公認会計士の先生、金融機関担当者様

ぜひ役員貸付金清算プランコラム他ご一読の上
解決の一助にお役立ていただければと思います。
よろしくお願い申し上げます。

役員貸付金が多額に計上され(目安として1,000万円以上)融資の折衝に苦労の経営者様
・そんな顧問先を持ち解決先に困っていた税理士事務所様
・役員貸付金があるため融資の取り上げに苦労されていた銀行や信用金庫の融資担当者様

このプランについてぜひお問い合わせください。

お問い合わせはこちらから
竹内 一信

<著者紹介>

竹内 一信
株式会社エフピー・ワン・コンサルティング

平成4年明治大学法学部卒業後、都内信用金庫に入庫。
融資営業として従事する中で建設業や医療法人他「役員貸付金問題」で融資対応に苦慮する。

平成10年に外資系生命保険会社に転職後「役員貸付金清算プラン」を知り、
信用金庫時代担当していた医療法人に本プランを導入し財務改善に成功。

以降、税理士事務所や中小企業、時には銀行融資担当者からの役員貸付金問題の相談を延べ数百件受け、
役員貸付金清算プランによる財務改善を実施、
建設業や運送業、医療法人や介護事業所やサービス業など多くの業種で
1,000万円~1億円超の役員貸付金清算プランをサポートしている。

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